意思決定のシステム神経科学
意思を生み出す脳の仕組み

2020.2.22.Fri. 9:30-12:40

京都大学教授 小村豊

講義の概要と目的

我々の日常は、意思決定の連続である。その本質は、反射や習慣とは対照的に、迷いを抱きながら、合目的的に行動を決定するところにある。実際、私たちは、迷いに合わせて、様々な適応行動をとる。例えば、より正確な情報を得るために、異なるソースを探索したり、煮詰まるほどの迷いであれば、逃避することだってあろう。しかし、これまで、脳がどのように、意思決定における「迷い」を検知し、それをもとに、様々な適応行動につなげているのかは、不明だった。講演者は、システム神経科学の手法を用いて、そのメカニズムの一端を明らかにした。これらの知見をもとに、私たちの意思の機構論と適応論を議論したい。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

動物の認知・行動様式を、ヒトのそれと比較すると、人間と動物の境界は、実は曖昧で、我々の心が、進化の来歴をたどって、成り立っていることを痛感させられます。また、脳活動の実体をつぶさに見ていると、巷に流布する単純な話で、脳機能が割り切れないことも分かります。今後、脳の健全な知見は、医療だけでなく、教育・経営・人工知能など、社会の多くの場面で、ますます必要になってくるでしょう。

講師プロフィール

経歴
ヒトのことを広く知りたくて、医学部を卒業し臨床活動をしていましたが、脳のことを深く知りたくなって、実験科学者へ転身しました。脳は、私たちが、朝起きてから、夜寝るまで、色んなことを考えたり、感じたり、行動したりするときに、常に働いています。寝ているときにも、働いています。したがって、人生そのものと言って過言ではありません。脳にはりめぐらされている神経ネットワークの活動一つ一つをつぶさに見ていくと、脳が、超複雑系であることを実感します。そこに、秩序を見出していくことが、面白いと考えています。

Day22020.2.20 Thu.
心とは何か

Day32020.2.21 Fri.
脳の認知科学

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