時任 宣博 TOKITOH Norihiro
京都大学化学研究所 教授
講義概要
典型元素の化学について、その基礎的な解説から最新の研究成果まで有機元素化学および物理有機化学的な視点から講義する。
主に高周期典型元素に焦点を絞り、低配位化合物から高配位化合物までその合成、構造、反応について、研究発展の歴史的背景と各典型元素の元素特性との関連を含めて紹介する。
世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか
炭素を中心とする第二周期元素の化学として発展を遂げてきた有機化学を典型元素全体の化学へと拡張すべく、その炭素や酸素、窒素などの構成元素を同族の高周期元素に置き換えた世界を構築することで、周期および元素の特性の違いにより発現する構造や反応性の変化を研究しその未知なる性質を解明することは、新たな機能・物性の開拓という点で重要である。 典型元素から遷移金属元素までも視野に入れた幅広い元素化学を展開し、有用な新物質開発を目指す化学は、単に化学者の好奇心を満たすのみならず、各元素の特徴を活用した化学の応用を展開する上で非常に重要な基礎的知見を与えるものと考えられる。
講師プロフィール
経歴
1979年東京大学理学部化学科卒業。1985年東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了(理学博士)。1985年国際基督教大学自然科学科非常勤助手、1986年筑波大化学系助手、1989年東京大学大学院理学系研究科化学専攻助手、1994年東京大学大学院理学系研究科化学専攻助教授、1998年九州大学有機化学基礎研究センター教授を経て、2000年~現在、京都大学化学研究所・物質創製化学研究系雪元素化学研究領域教授。2001~2003年分子科学研究所錯体化学実験施設客員教授(併任)、2004~2007年Visiting Professor, Technische Universität Braunschweig, Germany、2006~2008年京都大学次世代開拓研究ユニット長、2008~2012年化学研究所長、2013~2014年Visiting Professor, Universität Bonn, Germany、2014年より再度化学研究所長。主な受賞歴として、有機合成化学奨励賞(1993年)、ケイ素化学協会奨励賞(1996年)、日本IBM科学賞(1998 年)、日本化学会学術賞(2003 年)、Alexander von Humboldt賞(2003 年、2013年)など。主な学会活動として、ケイ素化学協会常任理事(1998~2014年)、ケイ素化学協会副会長(2014年~現在)、近畿化学協会ヘテロ原子部会長(2008~2013年)、日本化学会理事(2009~2011年)、基礎有機化学会副会長(2011~2012年)、日本化学会欧文誌編集委員長(2013年~現在)。