千 宗室 SEN Soshitsu
茶道裏千家 家元
講義概要
茶の湯は間口が広く、奥行きの深い文化です。まず、お茶を点てるということ。次に道具組みや菓子、料理に込めるもてなしの心や、花を入れ、炭を継ぎ、香を炷(た)く工夫があります。禅との関わりや、書画、陶芸など工芸の数々。数寄屋建築、造園。礼法もあり、二十四節気など季節の移ろいを身近に感じる場です。この様に多彩な文化の詰まった茶道は「日本文化のポータルサイト」だと私は考えています。
茶の湯の根本には「日々是好日」の精神が流れています。その思いは、先ず千利休居士がお茶というものに対処していく姿ににじみ出ており、それを受け取った後の世の人たちの間で茶の湯に欠かせぬものであると心から心へと伝えられてきました。ですから、特別な覚悟はなくとも五感を通して感じるものすべてを、そのときそのとき素直に受け入れる心があれば、私たちは「一期一会というサイクル」の中で日々を送っていくことができるわけです。「和敬清寂」の語で示される利休居士の茶の湯の根本は今日に至るまで不変です。しかし、それはいたずらに古いかたちを踏襲しているのではありません。各時代に生きる人々が「そのときの今」に適う茶の湯のすがたを常にアップデートしてきた証しです。この体験を通じ、少しでも茶道を身近に感じていただければと願っております。
講師プロフィール
経歴
京都府出身。同志社大学卒業。臨済宗大徳寺管長・僧堂師家 中村祖順老師のもとで参禅得度。祖順老師没後、大珠院 盛永宗興老師のもとで参禅。平成14年、裏千家16代家元継承。
京都芸術センター館長、(学)立命館理事、(財)松下政経塾理事、日本感情心理学会理事、(社)日本YPO(Young Presidents’ Organization)会長、(社)京都青年会議所理事長、(社)日本青年会議所近畿地区協議会会長、日本JCシニア・クラブ筆頭世話人代表、等を歴任。
現在、(公財)京都文化交流コンベンションビューロー副理事長、(公財)稲盛財団理事、同志社大学客員教授、京都陸上競技協会顧問、(公財)生涯学習かめおか財団理事長、大阪・関西万博日本館政府出展事業検討会議検討委員、(公社)2025年日本国際博覧会協会シニアアドバイザー、大阪・関西万博きょうと推進委員会委員等をつとめる。