飯吉 透 IIYOSHI Toru
京都大学 理事補、高等教育研究開発推進センター センター長、教授
講義概要
グローバル、リージョナル、ローカルに激動し続ける21世紀の社会において、教育と人材育成にも大きな変革と進化が起こりつつある。産・官・学の多くの領域において様々な難題に直面している日本が、今後自国だけでなく世界の発展に貢献できる人材を育て輩出していくために、今、我々にどのような変革が求められているだろうか。
本講義では、テクノロジーの進歩や労働市場のグローバル化が進み、社会の在り方や構造が大きく変化する中で、教育のオープン化、ユビキタス化、ゲーム化やAI(人工知能)、ビッグデータ等がどのように、教育と人材育成を変えつつあるかを、事例やトレンドを通じて概観し、今後の世界と日本における課題と可能性について議論し考えたい。
世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか
過去20年余の間に、インターネットやマルチメディアなどの情報コミュニケーション技術、交通・物流システムなどの進歩によって、より複雑化・流動化した社会では、技術や知識の陳腐化は激しくなり、雇用は安定しない。 そのような現代社会において、個々人が、知識的・技能的・職業的基盤を確保するために、10歳代後半から20歳代前半までを学校・大学で過ごせば「教育は修了」というモデルは、明らかに機能しなくなりつつある。新たな教育システムと絶え間ない教育イノベーションは、今や社会の持続と発展のために不可欠である。
講師プロフィール
経歴
東京生まれ。筑波大学附属駒場高校、国際基督教大学・同大学院(教育工学)を経て、フロリダ州立大学大学院博士課程修了。Ph.D.(教授システム学)。カーネギー財団上級研究員・同知識メディア研究所所長、東京大学大学院情報学環客員教授、マサチューセッツ工科大学教育イノベーション・テクノロジー局シニアストラテジスト等を経て現職。(株)朝日ネット顧問。世界経済フォーラム グローバル・アジェンダ評議会委員(「テクノロジーと教育」部門)、NHK日本賞審査委員などを歴任。国内外でテクノロジーを利用した教育の進展に関するビジョン策定・研究開発・啓蒙活動に従事。アメリカ教育工学コミュニケーション学会最優秀開発実践賞(1997)、アメリカ教育工学コミュニケーション学会ロバート・ガニエ教育研究奨励賞受賞(2001)等を受賞。
著書
主著に『Opening Up Education』MIT Press(2008年)。共著に『ウェブで学ぶ – オープンエデュケーションと知の革命』筑摩書房(2010年)など。