科学技術と人間の複雑な関係
科学技術と「共生する」ということの意味

2024.2.10.Sat. 9:30-12:10

名古屋⼤学⼤学院情報学研究科
社会情報学専攻情報哲学
准教授 久⽊⽥⽔⽣

講義の概要と目的

しばしば「科学技術は人間が何らか意図・目的を達成するために作り利用する単なる道具だ」と言われます。しかし実際には人間と科学技術の間にはもっと複雑な相互作用があります。科学技術は人々の行動や生活様式のみならず、価値観や選好にも影響を与えます。そしてその価値観や選好がまた科学技術の発展を方向づけます。このように人間と科学技術は相互に影響を与えながら「共進化」します。人間とテクノロジーはある意味においてまさに「共生」の関係にあり、そして時にはテクノロジーが人間に「寄生」することもあります。本講義ではいくつかの事例を取り上げながらテクノロジーと人間のこの複雑な関係について考察します。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

私の研究は、科学技術と人間とがどれほど分かちがたく結びついているかを探究し、そのうえで科学技術と人間のより良い関係を構築することを目指しています。科学技術は人間が何らかの目的を達するために利用する単なる道具・手段であるというに留まらず、人間が何を意図し欲するか、何を善いものと考えるかといったことにも影響を与えます。科学技術がますます強大で、かつ私たちの生活の隅々に行き渡っている現在、伝統的な「人間は合理的で自律的な行為者である」という人間観を変革する必要を突き付けます。その影響はまた社会の制度や規範にまで及びます。

講師プロフィール

経歴
2005年、京都大学大学院文学研究科で博士号(文学)を取得。2017年より名古屋大学大学院情報学研究科准教授。専門は情報の哲学、技術哲学、人文情報学など。著書に『ロボットからの倫理学入門』(共著、名古屋大学出版会、2017年)、『人工知能と人間・社会』(共編著、勁草書房、2020年)、『学問の在り方――真理探究、学会、評価をめぐる省察』(共著、ユニオン・エー、2021年)など、翻訳書にアンディー・クラーク『生まれながらのサイボーグ』(共訳、春秋社、2015年)、ウェンデル・ウォラック&コリン・アレン『ロボットに倫理を教える』(共訳、名古屋大学出版会、2019年)、マーク・クーケルバーク『AIの倫理学』(共訳、丸善出版、2020年)などがある。 

Day12024.2.9 Fri.
倫理を学問するとは

Day22024.2.10 Sat.
科学技術と倫理

Day32024.2.16 Fri.
科学技術と倫理 / ダイバーシティ

Day42024.2.17 Sat.
倫理のこれから

お申し込みはこちら

お申し込みは下記ページのエントリーフォームよりお願いいたします。

お申し込みはこちら

初めての方でもお気軽にお問い合わせください

お問い合わせはこちら

Tel. 075-753-5158

受付時間:平日 9:00〜17:00



Mail. info@elp.kyoto-u.ac.jp