講義の概要と目的

仮想通貨に多くの人々の関心が集まっています。仮想通貨は貨幣となるのか？仮想通貨は新しい貨幣なのか？仮想通貨の普及は貨幣のない社会を招来するのか？仮に仮想通貨が世界中で貨幣として流通することになったら、資本主義はどのようになるのか？など、さまざま問いかけがなされています。この講義では、『貨幣論』の基礎に戻って、これらの問いに答えてみるつもりです。そして、その答えを通じて、私たちが生きている資本主義という社会が、究極的に何によって支えられているかも考えてみようと思っています。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

「資本主義は最悪の経済システムである 。ただし、これまで存在した全てのシステムを除けば。」この最悪のシステムである資本主義が究極的に何によって支えられているかを考えることによって、仮想通貨のアイデアの背後にある自由放任主義思想の本質的な矛盾を示したいと思っています。

講師プロフィール

経歴
1947年生まれ。東京大学経済学部卒業、 マサチュセッツ工科大学Ph. D。イェール大学助教授、プリンストン大学客員準教授、ペンシルバニア大学客員教授、東京大学経済学部教授、国際基督教大学特別招聘教授等を経て、現在、神奈川大学特別招聘教授、日本学士院会員、東京大学名誉教授。著書に、Disequilibrium Dynamics、『ヴェニスの商人の資本論』、『貨幣論』、『２１世紀の資本主義論』、『会社はこれからどうなるのか』、『資本主義から市民社会へ』、『経済学の宇宙』など。