日本の美少女アバターとそれを使う男性ユーザーの
背景にあるものは?
バーチャル世界における創造的実践を
ジェンダー論によって考えよう

2023.2.18.Sat. 15:50〜18:00

Liudmila (Mila) Bredikhina

Past: Master’s degree in “Asian Studies.” Geneva University. Current: Department of Gender & Sexualities, Faculty for Social Wellbeing, University of Malta (Registration in process).
マルタ大学

講義の概要と目的

バーチャル世界でのユーザーの行動を調査することで、「物理世界」にいる私たちや社会が経験している変化について、より詳しく知ることができると思います。本講演では、メタバースにおけるユーザーの行動が、同時に「物理的」世界のジェンダー規範を「ハック」しながら反映しているのを理解するための理論的なツールを紹介します。まず、ジェンダー理論を見て、それをメタバースにどのように適用するかについて説明します。特にジュディス・バトラーの著書と、その理論をアバターに適用した論文に注目します。次に、ジェンダー理論を日本人男性のバーチャル美少女に対する行動のケーススタディに当てはめます。このケーススタディは、私が書いた学術論文と、ジュネーブ大学から「ジェンダー・プリ」を受賞した修士論文に基づいています。そして、講演の最後に、将来の展望を述べます。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

この講義の目的は、参加者が理論的な枠組みを使って、ユーザーが創造的なジェンダーの行動を展開するために、文化とテクノロジー(特にバーチャルリアリティ)を利用する方法について考えるように促すことです。なぜなら、テクノロジーと文化は絡み合っているので、メタバースを「物理的」世界から切り離して考えることができないからです。そして、バーチャルなジェンダーの理論化を考えることで、今日の日本社会における変化に光を当てることができるのです。また、メタバースのジェンダー的な側面を考えることで、ユーザーの行動をより深く理解することができ、今後メタバースに関連したビジネスを始める際に貴重な情報となります。

講師プロフィール

リュドミラ(ミラ)・ブレディキナ(Liudmila Bredikhina)は、ジュネーブ大学アジア研究科で修士号を取得(2021年)。日本における男性のバーチャル可愛いジェンダー行動について、フェミニストおよびマスキュリニティー研究の観点から研究を行っている。近著に 「バ美肉 バーチャルパフォーマンスの背後にあるもの──テクノロジーと日本演劇を通じたジェンダー規範への対抗」 現代思想2022年9月号 特集=メタバース、「Babiniku: what lies behind the virtual performance. Contesting gender norms through technology and Japanese theatre」Electronic Journal of Contemporary Japanese Studies 22 (2) (2022)、「Becoming a Virtual Cutie: Digital Cross-Dressing in Japan」Convergence (2021)など。

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