食をめぐる新たな技術と市民の役割
人新世における食を考える

2022.2.13.Sun. 10:50-11:50

名古屋⼤学⼤学院環境学研究科 教授

立川雅司

講義の概要と目的

人新世(Anthropocene)は、人間が地質学的な影響を地球に与えてしまう時代とされている。気候が安定していた完新世のもとで人類は文明を発達させたが、こうした状況が失われつつある。自然と人工の境界が曖昧になり、自然に対する技術的介入(地球工学など)が正当化される言説も登場するなかで、食と農に向けられる視点も様々な影響を受けざるを得ない。本講義では、ローカルな食と農の再構築を進めようとする立場や、科学技術に対する市民参加のあり方が検討されてきたこれまでの研究や実践を振り返り、こうしたオルタナティブを目指す動きが、人新世という新たな時代認識に直面する中で、どのような選択を政府・産業・市民に対して迫りつつあるのか考える。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

日本農業は、アメリカが中心となる食料体制(フードレジーム)のなかで形成されてきました。選択的拡大(稲、加工型畜産、園芸)を進めた一方で、アメリカと競合する作物(大豆、麦、菜種)は選択的縮小の対象となりました。日本の食生活はこうした農業を取り巻く国際関係(とくに日米関係)に影響を受けつつ、また独自の食生活をとりまく社会慣習や風土のもとに形成されてきました。いまや、こうした土台の上に、様々な技術革新(アグリテックやフードテック)とその対抗的運動(アグロエコロジーなど)、気候変動などの環境変化(カーボン等の制約など)が生じており、食のあり方をどう考えるべきか重要な岐路に差し掛かっていると考えられます。

講師プロフィール

1962年岐阜県生まれ。東京大学文学部社会学科を卒業後、大学院に進学するも、修士1年で中退し、農林水産省に入省(社会職)。20年ほど農水省関連の試験研究機関に在籍し、農業経営および農業経済分野で研究に従事。この間、2年ほど農林水産省技術会議事務局で研究調査官の業務に従事。その後、茨城大学をへて、2017年より現職。研究機関在籍中にアメリカ留学し、農業・食料社会学に接し、バイオテクノロジーに関する社会学的研究に触れる。帰国後は、遺伝子組換え作物のフードシステムへの影響や規制に関する研究を実施。近年は、ゲノム編集技術の規制や消費者意識の研究も行っている。また社会学の観点から、海外における農と食の動向に関心を広げるなかで、日本にはない様々な運動や思想に触発され、新たな視点の研究や問題提起を行ってきた。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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