がん研究とがん治療の最前線 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

がん研究とがん治療の最前線

がんはどうしてできるのか? 防ぐ方法は? 治療法は?

千葉 勉 CHIBA Tsutomu
関西電力病院 院長

講義概要

現在わが国では毎年120~130万人の方がなくなっていますが、そのうち2/3は病死であり、その病死の約半分が癌ということになっています。つまり日本人の二人に一人は癌にかかり、その多くの人が「癌で亡くなる」時代なのです。したがって癌で死ななければ、私達はかなり長生きできます。今回の講義では、この現代病ともいえる癌が、どうして増えてきているのか、どうしてできるのか、どうしたらその発症を予防することができるのか、また癌になった時に、どうしたら治すことができるのか、などについて論じたいと思います。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

私は癌の研究を長年してきましたが、癌患者は増える一方であり、またそのために全医療費にしめる「がん治療」にかかる比率は増え続けています。実際に抗がん剤による治療をすれば、1年間で薬剤の費用だけで1000万円ぐらいかかることは決して珍しくありません。一方WHOの評価では、わが国の医療は、質、費用などすべてを勘案して、世界のトップクラスにランクされています。実際わが国の医療費については、個人が支払う金額は非常に安いと言われています。ただ、わが国の、医療費/GDP比はアメリカの半分近くで、11%程度であり、かつ国が支払っている部分は決して多くありません。今回のお話では、癌についての科学的なお話と同時に、こうした国の医療経済的な観点からも癌の問題にせまりたいと思います。

講師プロフィール

経歴

1974年神戸大学医学部卒業、1981年神戸大学大学院修了。1984年から3年間米国ミシガン大学消化器内科に留学、消化管生理の研究をおこなう。帰国後1989年神戸大学第4内科教授、1995年京都大学医学部「消化器内科学講座」の初代教授に就任。2005年から3年間京大附属病院副病院長、2009-2015 年、京大病院がんセンターセンター長、2010-2015年、医学研究科の副研究科長(副学部長)。2015年に医学部を退官、同年「思修館」特定教授となる。2017年4月より関西電力病院院長。
J GastroenterologyのChief Editor、Gastroenterologyのsection Editorを始め計18の国際雑誌のEditor。学会理事、評議員 15。日本消化器病学会、日本消化器免疫学会、日本ヘリコバクター学会会長を歴任。厚労省医師国家試験委員、薬事食品行政審議会専門委員、難治性疾患研究評価委員長、指定難病検討委員会委員長、難病対策委員会委員長、文部科学省学術審議会専門委員、GLOBAL COE審査会委員を歴任。研究の専門領域は、発癌のメカニズム、消化器免疫、消化器臓器の幹細胞、癌幹細胞の研究。

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