2023年7月8日
ブランドコンサルティング会社 代表
粟野:一番印象に残った講義を教えていただけますか。
受講生:佐伯啓思先生の講義です。脱・経済成長主義についての講義だったと思います。戦後の日本経済の成功と今日の低迷、米国をお手本としてきた歴史、成長主義の時代の次の社会について語られ、その根本には、日本人の精神にあると思いながら、先生の講義を拝聴しました。
私は、欧州でグローバル競争に勝つことが最優先とされる環境に長くいました。それがあたりまえで、いま幸せかどうかも忘れているのではないかと疑問を抱いていました。自分自身にもそう問いつづけていました。モヤモヤしていましたね。先生の講義では、歴史をさかのぼりながら、大人の認識を鍛え直すという意図があったと思います。時間的、空間的な軸をもつだけでなく、日本人の自然観や歴史観と組み合わせて、突き詰めていくことが大切だと思いました。講義を通して、自分のモヤモヤとつながっている感覚をもちました。とても印象に残っています。
千玄室先生は、ちょうど100歳を迎えられました。ご自身の体験、平和への想い、そして何より講義後、受講生一人一人、面と向かい、感謝の言葉をいただきました。その姿に深く感銘を受けました。
粟野:ELPプログラム全体の印象はいかがでしょうか。
受講生: ELPでは、まったく触れたことのない、未知の分野に触れることができました。プログラム全体とそれぞれの講義、つながりがあり、緻密に計算されたという印象です。茶道や書道などは、日本人らしさや京都を意識してプログラムに組み込まれていたと思います。
粟野:茶道の講義を着物で受講することを企画されたり、全力で参加されてるという印象は常に感じました。
受講生:茶道の講義、京都という地、受講生の好奇心と賛同から実現できた企画だったと思います。みなさん、楽しそうでしたね。
粟野:ELPでの学びがこれからのキャリアに影響を与えたりプラスになったりすることはありますか。
受講生:受講前、数年先のキャリアよりも、ゆっくり時間をかけて、じわじわと影響が出てくればいいと期待していました。仕事柄、海外の方とのやりとりが多いのですが、彼らの多様な考え、見方に対して、より積極性をもって話を聞くことや、より深く掘り下げていくことができるようになったと感じています。これはELPでの経験が大きいです。また、自分の問いに、一瞬、なぜその問いなのかと考えることは、自分と向き合うことになり、新たな気づきとなりました。このような学びが、長い目で見て、人間力を磨くことになると思います。
粟野:最後に、これから受講される方へメッセージをお願いします。
受講生:短い時間で、なじみのない分野の教科書を読み、問いを立て、講義を受け、レポートを書くのは、苦しいです。しかし、慣れてきます(笑)。さまざまな分野の第一人者の講義を通して、自分の感性をフルに使い、考える。知らないことをおもしろがる。他者を通して、自分を知る。大変意味のある、貴重な機会です。もう一つは、京都。私は講義の前後、お茶会に参加したり、海外から京都に来られた方々と一緒に寺社仏閣巡りをしていました。日本文化に触れることの大切さを実感しています。是非おすすめしたいです!
粟野:ありがとうございました。