ELPs受講生Interview 2015年7月18日
商社 役員
粟野 特に印象に残ったプログラムは何でしょうか。
受講生 私は、毎回4時に起きて自宅のある埼玉から朝5時7分の電車に乗って、帰りは伊丹から最終の飛行機で帰っています。朝早くから夜遅くまで、普通は疲れて眠くなるところですが、実は今まで一回たりとも眠くなったことはないですね。今回の講義が普段のビジネスの世界と、関係する部分も一部ありますが、違うが故に面白いと感じているからです。これが本当のリベラルアーツだと思いました。例えばマーケティングやビジネスに関わるようなことであれば、もう分かりきっていて言われたくないというのがありました。ただ今回は根源的な話でしたので非常に興味があり、すべてが面白いと思いました。その中でも一番は中西寛先生の歴史の講義です。それと大石眞先生の憲法、これはもう非常に面白かったです。実技が入っているのも良かったです。茶道、書道そして坐禅。普段なかなか経験できないことができる。よくできているプログラムだと思います。貴重な時間を過ごすことができました。
粟野 それらのプログラムから、どのような学びを得られましたか。
受講生 90分、90分の二つのコースで構成されていて、それが午前午後2つあります。1日の時間配分としては大変良いと思います。但し、この時間だけで全て理解をできるということはありません。一番ありがたかったのは、これを機会にして自分で知識を深めていくきっかけになったことです。修了して終わるのではなく、これをきっかけに自分がどう広げていくか、ということではないかと。だから一番参考になったのは教科書とそれ以外の参考図書を用意してくださったことです。私はほとんど買いました。講義が終わった後に、そちらから深めていこうという展開ができるので、切れ目がなく学び続けることができます。私にとって一番の財産ですね。もう一つ、買った本をその著者である先生にサインいただける。私、実は多くの先生にいただきまして(笑)。これは嬉しいですね。先生も嬉しいでしょうね。いや分かりませんけど(笑)。本当にありがたいです。記念になりますね。読んだ時の感覚と授業を受けてもう一回読むと全く理解度が違います。最初は頭に入りませんが、講義を受けた後にもう一度読み返すと、ああ、こういう意味だったのかと繋がります。非常にいい図書を紹介いただけました。
粟野 今回の学びをご自身のお仕事や今後のキャリアにどう活かすことができると考えられていますか。
受講生 今回教えていただいた内容を直接的にビジネスに活かしてすぐ効果を出すことは簡単ではないと思います。但し、物事の見方だとか、今回のテーマである八思という色々な方向から物事を見る、あるいは観点を変えて見る、その点は活かせると思います。元々今回受ける時の持っていたテーマがあります。日本の歳出は100兆円、歳入は50兆円、借金が1,000兆円、それで少子化が進んで人口が1億人を2045年には割る。そして市町村が半分になってしまう。日本が抱えるこの構造的な重い課題をどう解決していくかという手掛かりが何か得られないかと思っていましたが、その課題をそれぞれの先生がお持ちで、医療費の問題から日本の借金の問題まで。だから京大の先生は、自分の研究のみの近視眼的なことだけでなく、日本を憂い、世界を憂い、あるいは地球規模で考える。その発想が財産だろうと思います。それに触れられたことで、多角的に、俯瞰的に見る目を持てたと思っています。それができればビジネスの中で同じことが起こっても、色々な角度から考えられるかもしれません。
粟野 Iさんの考えられるELPの魅力を聞かせていただけますか。また、新しく入ってこられる受講生にメッセージがあればお願いします。
受講生 もしこのプログラムが、例えば東京のとあるビルあるいはオフィスの中の一室を借りて、ビジネススクールをやるのでは雰囲気が全くでないと思います。私は毎回3時間近くかけてここに来ていますが、それは、京都に来て、この場所に来るが故に意味があると思っています。普段の仕事と遮断して、土曜日になれば一旦全部捨てて京都に来て勉強する。終わればまた次の週からビジネスに戻る。その一回一回のオンオフがすごくはっきりできました。それにこの橘会館がいいですよね。ありがちなサテライトオフィスで、ビルの中の一室でやるのではない、この環境がELPの大きな財産だと思います。それから、徐々に受講生の皆と親しくなります。意見も言い合います。講義を受けることだけが授業じゃなくて、例えば食事をしながらあるいはコーヒーを飲みながら、あるいは終わった後の課外授業も含めて、全てがELPなんだということを強く感じました。入られる方も是非楽しみにしていただきたいと思います。
粟野 大変貴重なお話をお聞かせくださり、どうもありがとうございました。修了後も思修館倶楽部を通して長くお付き合いいただきたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いします。